vol. 20 妹を案じて
「夢をかなえて 将来は母さんに楽をさせてやるんだ」
それが兄妹の目標でした。
長崎の小さな島を離れ、兄は福岡でデザイナーになるための勉強を、そして妹は立派な看護師になるために勉強をしながら大阪で一人暮らしをしていたのでした。
「離れて暮らす妹の様子が 最近気になるんです。総合病院に就職が決まって昼も夜も忙しいみたいなんですが、以前の妹と少し違うんです。」
二つ違いの兄は そんな妹さんを案じて調査の依頼にこられたのです。
「夜勤が多いみたいです。妹も年頃ですから 彼氏だっているでしょう。元気で一生懸命頑張ってるのがわかれば 僕も安心しますから。」
大阪での妹さんの行動調査がスタートしました。
兄が想像していた白衣の天使は 悲しいことに風俗嬢として夜の街で働いていたのです。
しかも 体で稼いだお金は、3日おきにサラ金の返済の為に無人契約機へ・・・
彼女には暴力団関係の彼氏がいました。
「島の母さんには絶対に知らせることができません。」
お兄さんはしばらくうつむいたままでした。
「僕たち兄妹は 将来の夢を叶える約束で島を出たんです。 これじゃ妹は絶対に島に帰ってこれないでしょう・・・」
あれから半年。 お兄さんから電話をいただきました。
「妹は今 島の診療所で看護師として働いています。小さな診療所なんですけど、母と仲良くやってるようです。
大阪での事は僕と妹だけの胸にしまうことにしました。ここまでたどりつくのは大変でしたけどね。」
恋人や友人もいいものですが、兄妹もなかなかいいものだとじんとこみ上げてくるものを感じました。
《 朱雀大路貴美香 》
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