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それは6月17日(木)15:00頃、福岡市南区の市立福翔(ふくしょう)高校(生徒数951名)での出来事だった。
職員室に呼び出された同校2年生男子生徒は、授業中に居眠りをし、それについての反省の態度が見られないことで、教師による嗜めを受けていた。
反省文の提出を求められた生徒だが、机に置かれたのはB4判の紙とカッターナイフ。
「鉛筆ではなく血で書け」
生徒にそう告げたのは40代の社会科教師だった。
その後、生徒を残し職員室を去っていく教師・・・・・・
その後姿を、生徒はどのような気持ちで見送ったのだろう?
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| 市立福翔高等学校 |
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校舎風景 |
数分後、教師が職員室に戻ってくると生徒は自分の左手人さし指を、渡されたカッターナイフで切り、反省文を書いていたのだ。
職員室には当時、約10名ほどの教師が居合わせたが、打ち合わせ中であった為、全く気が付かなかったという。
反省文は既に第1行目が書き出されていた。
「 今日は先生 」
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| 教員室風景 |
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職員室風景 |
周辺の住民の多くは新聞などで今回の事件を知り、つい最近、佐世保市で起こった事件と同様にカッターナイフが使用されたという共通点に驚いている。
佐世保市の事件は、小学校6年生の少女が同級生を私物のカッターナイフで殺傷するという事件であったが、その事件以後、校内での刃物の取り扱い方などについては、様々な議論がなされたはずである。
そんな背景を踏まえ、周辺の住民や保護者達は、その社会科教師がどれほど自覚を欠いていたかを不安にすら感じている。
事件から4日が経った6月21日(月)、この日は朝から普段と様子が違っていた。
通常とは違う時間割が臨時に組まれ、朝のホームルームの後、9:00から全校集会が開かれた。
生徒達は段裕明校長から今回の事件についての経緯を知らされたが、この集会の中では、当事者の二人は「先生A」、「生徒B」と呼ばれ、本名は伏せられたとのこと。
更にこの日は、19:00から保護者説明会が行われる予定であった為、授業は40分へと短縮された。
また部活動の生徒達も、本日は休みであったり、顧問より早上がりを命じられているなどの理由で、18:00を過ぎる頃には校舎内での姿をほとんど見掛けなくなった。
行われた保護者説明会は完全非公開で、同校の敷地内の講堂にて予定通り執り行なわれた。
入場者の身分確認は厳しく行われ、マスコミ関係の人間は一切排除された。
19:00から行われた保護者説明会は、20:30頃まで、約90分間に及んだ。
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| 6月21日(月)の特別時間割 |
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保護者説明会に訪れる保護者達 |
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| 午後7時から同校の講堂で始まった保護者説明会 |
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保護者説明会を取材するNHKの記者 |
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| 完全非公開で行われた保護者説明会の映像 |
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| 保護者説明会を終えて講堂から出てくる保護者 |
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保護者説明会直後の映像 |
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| 放課後に戯れる生徒達 |
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野球部員達 |
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| 教室内風景 |
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校舎内中庭 |
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| 部室前駐輪場 |
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生徒用靴箱 |
当事者である教師の名は「木村学」氏と判明。
社会科の「地理」の授業を担当しており、数年前に福翔高校へと赴任してきた。
同校の生徒達の評判は決して悪くはないが、「不思議で変わった先生」という表現で木村氏を説明する生徒は男女共に多かった。
一方、段裕明校長を含めた教師の間での評判は高いようで、「熱心で真面目な方だった」と、意見はほぼ共通していた。
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| 教員内線表(木村学 氏) |
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| 教員用靴箱 |
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木村氏の靴箱 |
事件の当事者である同校2年生男子生徒の名字は「キダ」氏と判明。
怪我は大きくなく、私生活にはなんら支障をきたしていないということであるが、「血で反省文を書け」と教師にカッターナイフを差し出された記憶は、彼の心に指先の切り傷以上の傷を与えたのかも知れない。
彼はこの事件をどのように振り返っているのだろうか・・・・・?
完全非公開の保護者説明会が終了した後、校長室隣の応接室にて、段裕明校長によるマスコミ向けの記者会見が行われた。
「21:10から会見を行います」と会見場に報告に現れた職員に対し、記者団から「そんなに準備に時間をかける必要があるのか?」、「10分より早めてくれ」などの声が上がった。
会見席は3席が横に並んで用意され、記者団の要求通り、予定より若干早く現れた段校長がその中央へ座ると、校長の一礼から記者会見が始まった。
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| 段裕明校長による記者会見 |
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記者の質問に答える段校長 |
当該教師にも、今回の事件の経緯について何か反論したい気持ちはあるのかもしれない。
しかし、やはり今回の事件は、当該教師の自覚の無さが招いた事件であったことは間違いない。
常に教育の本質が問われ、叫ばれ続けるこの社会の中で、福翔高校もまた、自身の未来を左右する分岐点に差し掛かっているのではないだろうか?
市立福翔高校 段裕明校長記者会見
6月21日(月) 21:00〜
応接室にて
本日、保護者説明会を開いた訳だが、受付の名簿では242名の出席があった。
内容としては、やはり(当事者の)先生に関することが一番大きく、、「今後、その教師は(処分について)どのようになるのか?」、そして更に「今日、(当事者である)先生の謝罪が聞きたかった」、「それが無理ならば手紙を書くなどして欲しかった」という意見を頂いた。
(学校側からは)特に当該の生徒、それから周りの生徒に対するケア、そして教師がこのような事件を起こしたことについてのお詫びと、事件についての経緯、それから今後のことということで話をした。
当該生徒は、先日の取材の時(18日)はやはり色々気になることもあってか欠席したという話はしたと思うが、今日は「少し遅れる」と母親から連絡があり、午前中は生徒同士、少し固い雰囲気があると担任の教師からの報告を受けていたが、午後になったらそう変わらない状態で一日を過ごしたということだ。
前回の取材の時には、「生徒と教師の関係は壊れていないので特段な処分は考えていない」と話したと思うが、今日、(当該)先生本人と会って個別指導していく中で、やはり本日の時点で授業をさせるというのは難しいという判断から、今日は別室に控えさせて、話を聞きながらそのまま指導をした。
「本校の信頼回復をどうするのか?」というご指摘に対しては、やはり福翔高校への評判というかイメージが全国的に下がっている状況が起こっていると思うので、そうした時に、3年生の就職や進学でその辺りの成果を出すこと、あるいは今の中学3年生の今後「福翔へ行きたい」となるようなことへの信頼回復ができるように職員全員で取り組んで参りたいと申し上げた。
(当該)教師から、「保護者会に対して手紙を書いたほうがいいのでしょうか?」という相談を受けたが、とてもそのような物を書ける状況ではないと(学校側が)判断し自粛させた。
今回の教師への指導は、主に教師自身の気持ちを整理させる目的のものだった。
(教師の復帰については)生徒と教師の関係は壊れてしまったとは考えていないので、早い時点での授業(への復帰)を考えている。
(個別指導中の教師の話では)生徒にカッターナイフを渡し指示をしたのは、授業中に居眠りすることの重大さを認識させる為、真剣に反省文に取り組んでもらう為だと話していた。
(教師は)「佐世保市での事件もあり、それなのにカッターナイフを使っての指導を行ったのは認識が甘かった」と反省している。
(今日は)教師の物凄い自責の念というか不安な状態が、昨日よりは大分落ち着いていた。
生徒達からは、今回の事件に関して、ケアを求めるような声や態度は見受けられない。
今回の保護者会には、教育委員会からも主任指導主事が1名入っていたが、今日はあくまでも保護者に対する説明会だった。
(教師本人は)定期考査間近なので、自分の授業が自習になることに大変責任を感じており、授業をしたいという気持ちは強く持っているようで、生徒達も「いつ戻ってくるんでしょうかね?」などと話している。
教師の処分については教育委員会にまかせており、相談もしている。
怪我をした生徒の具合などで進展は無い。担任が行って確認をしているが、(救護)テープなども貼っておらず、血も(完全に)止まっていて処置を必要としないような状況だった。
本日の保護者説明会は、学校側からの説明は約20分、その他は質問を受け付け、全体では約90分間だった。
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